朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
暗闇の中、部屋の中に裸で一人残された昇香は、言いようのない孤独と寂しさに襲われた。
気が強く、自信家な昇華の瞳から一筋の涙が零れ落ちた。
そこからはせきを切るように、止めどなく涙が溢れだした。
「うっうっ……」
暁を引き留めるどころか、触れることすらできなかった右手を口に押し当て、嗚咽を押し殺す。
涙がぽたぽたと床を濡らした。
昇香はこの時初めて、暁のことが好きだったのだと気が付いた。
遊女上がりで、素養も後ろ盾もない昇香が出世するには、帝から寵愛される以外に方法がなかった。
だから、必死になって暁に取り入り、気に入られるように全力を尽くした。
一度でも床入りすれば、寵愛を賜(たまわ)る自信があった。
それなのに、暁は二度と昇香の前に姿を現すことはなかった。
昇華にとっては夢のような一夜だった。
これまで肌を交わした男は幾人かいたが、暁はどの男よりも優しく手練手管であった。
思わず見惚れてしまうような美しい顔立ちで、蕩けるようなひと時を与えた暁に、昇香は知らぬ間に恋に落ちていた。
しかし、この執着めいた気持ちが恋だとは気付いていなかった。
恋とはどういうものなのか知らなかったからである。
だが、はっきりと拒絶され失恋して初めて自分の本当の気持ちに気が付いた。
気が強く、自信家な昇華の瞳から一筋の涙が零れ落ちた。
そこからはせきを切るように、止めどなく涙が溢れだした。
「うっうっ……」
暁を引き留めるどころか、触れることすらできなかった右手を口に押し当て、嗚咽を押し殺す。
涙がぽたぽたと床を濡らした。
昇香はこの時初めて、暁のことが好きだったのだと気が付いた。
遊女上がりで、素養も後ろ盾もない昇香が出世するには、帝から寵愛される以外に方法がなかった。
だから、必死になって暁に取り入り、気に入られるように全力を尽くした。
一度でも床入りすれば、寵愛を賜(たまわ)る自信があった。
それなのに、暁は二度と昇香の前に姿を現すことはなかった。
昇華にとっては夢のような一夜だった。
これまで肌を交わした男は幾人かいたが、暁はどの男よりも優しく手練手管であった。
思わず見惚れてしまうような美しい顔立ちで、蕩けるようなひと時を与えた暁に、昇香は知らぬ間に恋に落ちていた。
しかし、この執着めいた気持ちが恋だとは気付いていなかった。
恋とはどういうものなのか知らなかったからである。
だが、はっきりと拒絶され失恋して初めて自分の本当の気持ちに気が付いた。