朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
暁との間に何かがあったということは、当然柚の教育係りでもある如月の耳にも入っていた。


柚は普段から勉強する意欲のない問題児だったため、このようなことが起きたのだから、更に勉強する意欲を失っているであろうと如月は思った。


だが、二人の間のことは如月の仕事には関係のない話で、如月は柚に勉強を叩き込むのが仕事であるから、集中して勉強に取り込まなければ厳しく注意しようと意気込んでいた。


 しかし、蓋を開けてみれば、柚は人が変わったかと思うくらい勉強に集中していた。


覚えも早く、驚くくらいどんどん勉強が進んでいく。


如月は戸惑いつつも、教えやすくなって良かったと思っていたが、だんだん気味が悪くなってきた。


あまりにも聞き分けが良く、あまりにも真面目なので、普段のギャップとの差に困惑を隠しきれなくなった。


「柚様、あの、大丈夫でございますか?」


 穴が空くんじゃないかと思うほど、朱凰国について書かれてある歴史書を読んでいる柚に向かって、如月は恐る恐る尋ねた。
< 286 / 342 >

この作品をシェア

pagetop