朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
柚の意外な一面を知って、また柚に対する見方が変わった。


いつも明るく、悩みなんてありましぇ~んと少年のような態度だった柚が、いっぱしの恋する乙女のように肩を落とし愁いに満ちている。


その様子はとても可憐で、なんだか如月は胸がドキドキしてきた。


これまでは二人がどうなろうと自分には知ったことではないと思っていた如月だったが、ほんの少しだけ柚を心配する気持ちが生まれた。


「何が、あったのでございますか?」


 如月は恐る恐る聞いた。帝とのことなどを聞くのは恐れ多いことであると考えていたし、何より、二人の関係などてんで興味がなかった。


思わず自分の口からポロリと漏れた言葉に、如月自身驚いていた。


 柚は相変わらず睫毛を伏せながらも、ポツリポツリとあの日見た出来事を全て如月に話した。


「……ということなんだ」


 柚は全てを話し終えると、顔を上げ覗き込むように如月の目を見つめた。


悩んでいたことを吐露すると、胸のつっかえが取れたようで清々しい気持ちと、どんな助言をくれるのかドキドキする気持ちとで柚の胸は揺れていた。
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