朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「なんでだよ!」


 断言されてつい柚はカッとなった。


「あなたは今まで何を勉強してきたのですか?

帝はこの世をお創りになられた天照大神の御子孫、この世界のどの神よりも尊い御方なのですよ。

その帝が、他の女性を抱きしめていたというだけで怒るとは何事ですか。

あなたの胸に宿った感情はなんですか、やきもちですか?

いくら朱雀の巫女といっても、結局巫女ですよね。

朱雀ならまだしも巫女の分際でやきもちだなんて無礼千万、思上がりの自惚れも甚だしい!」


 今まで真面目でとても丁寧な態度だった如月が豹変し、言い返す暇もなく一刀両断された柚は、驚いてもう何も言葉が出なかった。


 それに対して如月は、今までずっと本性を隠しストレスを抱えていたので、ようやく本来の自分を出せてどこか吹っ切れたようなスッキリした様子だった。


「ああ、こんなくだらない話をしている間に、終了時間が過ぎてしまいました。それでは、本日の授業はこれで終了致します。それでは」


 如月はいつものように軽くお辞儀をすると、何事もなかったかのようにスタスタと去っていってしまった。


後に残された柚は、驚きでまだ空いた口が塞がらなかった。
 
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