朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
ただでさえ落ち込んでいるというのに、如月からの強すぎるダメ出しを食らい、柚は心身共にどっと疲れてしまった。


フラフラしながら校書殿を歩き、自分の部屋に戻っている時のこと。


縁側の下を何かを追うように走っている稚夜を見つけた。


(稚夜だ! こんな所にいるなんて珍しいな)


 久しぶりに会った稚夜に柚は嬉しくなって、パッと表情が輝いた。


「稚夜!」


 大きな声で柚が呼ぶと、稚夜は一瞬ビクっと肩を上げた。


稚夜はキョロキョロと周りを見渡して、柚の存在に気が付くとみるみるうちに顔が綻んでいった。


「姉さま!」


 稚夜は大きな箱を抱えながら柚の元へと駆け寄ってきた。


「お久しぶりです、姉さま! お元気でしたか?」


「ん? う、うん、元気……だった……かな?」
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