朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「どうしました? 何かあったのですか?」


「いや、まあ、ちょっと……」


 言葉を濁す柚を見て、稚夜は心配そうに顔を覗き込んだ。


「兄さまと何かあったのですか?」


「えっ!? いや、そんなわけないだろ」


 否定はしていても明らかすぎる態度を見て、稚夜はため息を吐いた。


「大人の事情は僕には分かりませんが、お互い素直になれずにすれ違っているのではありませんか? 何か思う所があるのなら兄さまに直接言えばいいんですよ」


「そう簡単に言うけど……」


「もっと兄さまを信用してもいいのではないでしょうか。

兄さまと姉さまはもうすぐ、正式に結婚するのでしょう?

夫となる人を信用できなければ、結婚する意味はあるのでしょうか?

それとも、結婚は破断にするのですか?」


「いや、それは……」


「言葉を濁すということは、悩んでいらっしゃるのですね。

それならばなおのこと、兄さまとしっかり話し合った方がいいです。

兄さまは心から姉さまのことを愛していらっしゃいます。

どうか信じてあげてください」
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