朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
 でも……。


 そこまで一気に考えて、柚は表情を崩すことなく、大粒の涙を零した。


 でも、私はそれを受け入れることはできない。


 嫌だ。私だけを愛してほしい。


他の女性と抱き合うなんてことはしてほしくない。


我儘かもしれない。


自分勝手かもしれない。


ただの独占欲なのかもしれない。


分かってる、分かってるけど、感情がついていかない。


嫌なものは嫌だ。


 器の大きな女性になって、私は正妻なんだからと、でんと構えていられるほど大人じゃない。


そんな風には思えない。


そんな風にはなれない。


 だって、だって、私は暁のことが好きだから。


大好きだから。

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