朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
柚は由良を呼びつけ、暁と面会する意思を伝えた。


柚が暁と逢うことをずっと拒否していたため、それを聞いた由良は大喜びした。


だが、柚の表情は心を閉ざしてしまったかのように頑なで、何かを決心したかのような顔だった。


由良はとても嫌な予感がして、喜んでいた気持ちが萎れていった。


 由良はあの日、暁に媚薬を飲ませた後、久しぶりに暁が柚の部屋へ訪れることになり、これで暁と柚はしっかりと結ばれてくれると確信し喜んでいた。


しかし明くる朝、柚の部屋へ行くと暁の姿はなく、それどころか柚は大変な落ち込みようだった。


 その日から柚は暁の訪問を拒み、平城宮内でも暁と柚の不仲は噂になっていた。


由良は昇香とのことを知らないので、あの夜、暁は媚薬をもってしても駄目だったので、柚は落ちこみ暁の訪問を拒否するようになったのだと思っていた。


落ちこんでいる柚の姿を見ていても、デリケートな問題なだけに何があったのですか?と聞くこともできなかった。
< 296 / 342 >

この作品をシェア

pagetop