朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「柚、頭を上げていいぞ」
柚は教わった通りに、帝から許しを得てから、ゆっくりと顔を上げた。
見上げると、久しぶりに見る暁の顔があって、胸がきゅっと締め付けられた。
前まであんなに親しく近い存在だった暁が、遠い存在に思えた。
「帝に、お願いしたいことがあります」
初めて柚に敬語で話されて、暁は驚き、そして傷付いた。
怒鳴られたり、なじられたりする方がマシだと思った。
柚の心が離れ、凍ってしまったかのように感じたからだ。
「なんだ?」
帝と呼ばれ、暁も帝として柚に接するように、声を落として言った。
「結婚を取りやめにしていただきたいのです」
暁は思わず息を飲んだ。
薄々予想はしていたことだった。
しかし、こうして柚の口からはっきりと言われると衝撃は思っていた以上に大きかった。
ならぬ、と言いたい気持ちは山々だが、柚の様子を見ると相当な覚悟を持って言ってきたことが窺(うかが)える。
暁はしばらく言葉が出なかった。
お互い黙り込んだまま時間が流れ、ようやく暁が口を開いた。
柚は教わった通りに、帝から許しを得てから、ゆっくりと顔を上げた。
見上げると、久しぶりに見る暁の顔があって、胸がきゅっと締め付けられた。
前まであんなに親しく近い存在だった暁が、遠い存在に思えた。
「帝に、お願いしたいことがあります」
初めて柚に敬語で話されて、暁は驚き、そして傷付いた。
怒鳴られたり、なじられたりする方がマシだと思った。
柚の心が離れ、凍ってしまったかのように感じたからだ。
「なんだ?」
帝と呼ばれ、暁も帝として柚に接するように、声を落として言った。
「結婚を取りやめにしていただきたいのです」
暁は思わず息を飲んだ。
薄々予想はしていたことだった。
しかし、こうして柚の口からはっきりと言われると衝撃は思っていた以上に大きかった。
ならぬ、と言いたい気持ちは山々だが、柚の様子を見ると相当な覚悟を持って言ってきたことが窺(うかが)える。
暁はしばらく言葉が出なかった。
お互い黙り込んだまま時間が流れ、ようやく暁が口を開いた。