朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
そして、暁が危惧していた通り、不気味な影は一斉に暁と柚に襲い掛かってきた。


するとその時、眩いほどの光が部屋を満たした。


その光はどんどん大きくなり、屋敷の外まで光が膨れ上がり、その一帯だけがまるで太陽が当てられているかのように隅々まで詳細に見渡すことができた。


暁と柚を取り囲んでいたのは、暁の言う通り物の怪などではなく、人間の男たちだった。


そして十人を超える侵入者の中には、昼間暁が倒した男達も入っていた。


男達は、突然の光に狼狽し、ただ立ち尽くすのみだった。


 そして、パニックに陥っていた柚だったが、眩い光によって余計な力が抜け、暁の腕に埋めていた顔を上げた。


すると天井には、紅色に輝き、長く豪華な尾を引く神々しい朱雀の姿があった。


朱雀は泣き顔の柚と目が合うと、小馬鹿にするような笑みを見せた。


もっとも、そう見えたのは柚だけであって、その場に居合わせた者達には、朱雀は始終威風堂々として見えた。
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