朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「柚が、余を許せない気持ちは分かった。

だが、あの時のことを説明させてはもらえないだろうか。

柚には言い訳にしか聞こえないかもしれないが、あれは事故のようなものだったのだ」


「聞いて、私の気持ちが変わるか分からないけど、いいよ、聞くよ」


 柚がいつもの口調に戻ったので、それだけで暁は嬉しくなった。


そして暁は、あの日のことを語り出した。


「あの日、なぜか凄く体調が優れなくてな。けれど、柚が余のために作ってくれた甘味のお礼を言おうと柚の部屋に向かっている途中で……」


「は? 私は何も作ってないぞ?」


「そんなはずはない。由良が、柚が余のために作ってくれたとわざわざ持ってきてくれたのだ」


「いやいや、私は何も作ってないから」


 柚に否定され、暁はあの日のことを詳細に思い出そうと頭を巡らせた。


あれは柚の手作りじゃなかった……。


その事実を元に考えると、急に何かがおかしいことに暁は気付いた。


 そういえばあの甘味、物凄く不味かった。


それに、あの甘味を食べた辺りから急に身体がムラムラしてきて……。
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