朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
結ばれた二人、の巻
暁と柚が結ばれた明くる朝、朱凰国は不思議な現象が至る所で起こっていた。
朝方まで飲みあかし、仮眠をとって目覚めたばかりの高官や地方の豪族たちは、庭院に広がる光景に呆気に取られた。
今は秋であるというのに、桜や紫陽花(あじさい)、椿(つばき)や梅の花が咲きほこっていたのだ。
それだけではない。
メジロや白鳥、カワセミやアオサギなどここにはいるはずのない鳥たちが美しい鳴き声を響かせ飛び回っていたのである。
しかも、まだ上午(じょうご)だというのに日は高く昇り真夏のようなかんかん照りだ。
四季がおかしくなったかのような光景に、平城宮で働く下々の者達も狼狽えむやみに走り回っていた。
「これは一体……」
仮眠していた平屋で、立ち尽くすように庭院を見ていた高官の一人が呟いた。
すると、遠くから渡殿を歩いてくるやけに機嫌のいい男が、青ざめている人々に向かって声を掛けた。
「お~、皆のもの。今朝は一段と良い朝だな」
暁だった。
表情が生き生きとしていて、全身から生命力が溢れ出ているのが遠目からでも分かる。
外は大変なことになっているというのに、満面の笑顔でやけに陽気だった。
「帝! 大変でございます。桜が咲いております!」
「桜? 良いではないか。美しいのう」
暁は目を細めて外を眺めた。
朝方まで飲みあかし、仮眠をとって目覚めたばかりの高官や地方の豪族たちは、庭院に広がる光景に呆気に取られた。
今は秋であるというのに、桜や紫陽花(あじさい)、椿(つばき)や梅の花が咲きほこっていたのだ。
それだけではない。
メジロや白鳥、カワセミやアオサギなどここにはいるはずのない鳥たちが美しい鳴き声を響かせ飛び回っていたのである。
しかも、まだ上午(じょうご)だというのに日は高く昇り真夏のようなかんかん照りだ。
四季がおかしくなったかのような光景に、平城宮で働く下々の者達も狼狽えむやみに走り回っていた。
「これは一体……」
仮眠していた平屋で、立ち尽くすように庭院を見ていた高官の一人が呟いた。
すると、遠くから渡殿を歩いてくるやけに機嫌のいい男が、青ざめている人々に向かって声を掛けた。
「お~、皆のもの。今朝は一段と良い朝だな」
暁だった。
表情が生き生きとしていて、全身から生命力が溢れ出ているのが遠目からでも分かる。
外は大変なことになっているというのに、満面の笑顔でやけに陽気だった。
「帝! 大変でございます。桜が咲いております!」
「桜? 良いではないか。美しいのう」
暁は目を細めて外を眺めた。