朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「しかし驚いたぞ。なぜこの場所が分かった」
「物の怪がこの家の娘を連れ去ろうとしていると噂で聞き、もしや帝はこの近くにお出でになるんじゃないかと思いまして、辺りを循環していたのでございます。
そうしましたら、突然のあの光。
何かあると思いまして、光の根源に乗り込んだら帝が戦っておられましたので加勢した次第でございます」
「なるほどな」
呆気に取られていた柚は二人の会話を聞いてハッと我に返り「ちょちょちょ、ちょっと待て!」と話に割り込んだ。
「これは一体どういうことなんだよ! 説明しろよ!」
暁は、へたり込んでいる柚を見下ろすと優しい眼差しになり、腰を落として柚と同じ目線になった。
「すまんな、柚。
怖い思いをさせてしまったな。
実はな、現在、宮では物の怪が跋扈(ばっこ)しておってな、皇族に死者まで出し大変な騒ぎとなっておる。
物の怪は宮の限られた場所にしか出没していなかったはずなのに、最近都にも出るという噂を耳にしたのだ。
都に出るという物の怪は美しい女を攫うという。
それだけではない。
最近では貴族の娘までも攫うというのだ。
しかもご丁寧に、これ以上宮で死者を出したくなければ娘を差し出せという文を寄越してな。
「物の怪がこの家の娘を連れ去ろうとしていると噂で聞き、もしや帝はこの近くにお出でになるんじゃないかと思いまして、辺りを循環していたのでございます。
そうしましたら、突然のあの光。
何かあると思いまして、光の根源に乗り込んだら帝が戦っておられましたので加勢した次第でございます」
「なるほどな」
呆気に取られていた柚は二人の会話を聞いてハッと我に返り「ちょちょちょ、ちょっと待て!」と話に割り込んだ。
「これは一体どういうことなんだよ! 説明しろよ!」
暁は、へたり込んでいる柚を見下ろすと優しい眼差しになり、腰を落として柚と同じ目線になった。
「すまんな、柚。
怖い思いをさせてしまったな。
実はな、現在、宮では物の怪が跋扈(ばっこ)しておってな、皇族に死者まで出し大変な騒ぎとなっておる。
物の怪は宮の限られた場所にしか出没していなかったはずなのに、最近都にも出るという噂を耳にしたのだ。
都に出るという物の怪は美しい女を攫うという。
それだけではない。
最近では貴族の娘までも攫うというのだ。
しかもご丁寧に、これ以上宮で死者を出したくなければ娘を差し出せという文を寄越してな。