朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「ああ、これは余がやったのか。言われてみればこれくらいのこと屁の河童だ。今ならもっと凄いことができそうだぞ」


 暁は目を輝かせ両手を広げたので、高官や豪族たちは「ひいぃっ」と言って後ずさりした。


何をするか検討もつかないが、検討がつかないものほど怖いものはない。


「やめてください!」


 如月は悪戯小僧を叱るように怒鳴った。


「帝が嬉しいのは、非常によく分かりましたから元に戻してください。皆が気味悪がっております」


「戻してくれと言われても、戻し方など分からぬ。心配しなくても大丈夫だ。天変地異など起こらぬし、そんなこと余がさせぬ。干ばつも暴雨も起させはせぬ」


 帝の自信満々の様子に「お~!」と感嘆の声が上がった。


天災は毎年どこかしらの地域で起こり、それが人々の一番の悩みの種だった。


しかし、神の能力を開花させた暁がいればもう何も怖れることはない。


「それならいいですが、きちんと皆に説明してくださいませ。国中から、今の時期実るはずのない野菜が採れたとか報告がひっきりなしに届いているのです」


「いいことではないか」


「問い合わせが殺到しているこちらの身にもなってください!」
< 321 / 342 >

この作品をシェア

pagetop