朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「侍女に育てさせればよかろう。赤ん坊を育てるのは大変だぞ」


「でも、さっき朱雀に言われたし。私がこうして生きていられるのは朱雀のおかげだし」


 それを言われると、暁は弱かった。しぶしぶ頷く。


「分かった。だが、あまり無理はするなよ」


「うん!」


 柚は嬉しそうに破顔した。


赤ん坊をとても可愛いと思っているのが伝わってきて、暁も頬を緩める。


「裸のままじゃ寒いよな。ちょっと暁、抱っこしてて。今、おくるみ持ってくるから」


「え?」


「すぐ戻るから!」


 無理やり赤ん坊を渡され、恐る恐る赤ん坊を抱っこする。


乱暴に扱ったらすぐに壊れてしまいそうで、抱っこするのも怖かった。


柚が走って部屋の中に入る様子を見送り、赤ん坊に視線を落とした。


「お~、よしよし」


 泣いている赤ん坊を不器用ながらあやしてみる。


子供ができたらこんなかんじなのかと思うと、心がほっこり温まった。


「柚といちゃつけると思ったら大間違いだぞ」


 突然朱雀の声が聞こえて、暁の動きがピタリと止まった。
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