朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
いまだによく分かっていない柚に代わり、銀の鎧かぶとを被った男は、頷きながら会話に入ってきた。


「やっぱりそうでしたか。

突然帝が宮を脱走されて、理由の分からない我々がどんなに心配したことか。

でも帝が脱走する理由は、きっと物の怪と関係があると踏んだ私の読みは当たったようです。

帝が見つからないこの数日間は生きた心地がしませんでしたよ」


「悪かったな、貴次(たかつぐ)」


「欠片も悪いと思っていないでしょう」


「さすが貴次。余のことを分かっておる。余は全く反省しておらぬ」


「お願いですから少しは反省してください」


 貴次は呆れたように溜息を吐いたが、暁は全く気にしていないようだった。


そして捕えた者達を見下ろし、考え込むように顎に手を添えた。


「しかし宮での物の怪とは違うとは思っていたが、完全な人間だとは思っていなかった。

裏で誰かが物の怪を操っていると思っていたのだ。

実際に物の怪を見たという証言があったのにおかしいな」


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