朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「あっ笑った! 可愛いなぁ。これがあの口の悪い生意気な朱雀だとは思えないよ」


 柚は赤ん坊を横抱きしてあやしながら、嬉しそうに部屋に戻っていた。


「待て! 柚! その赤ん坊は危険かもしれぬ!」


 ハッと我に返った暁は、柚の背中に向かって叫んだ。


怪訝そうな顔で振り返る柚。


「なにが危険なんだよ。暁は子供が嫌いなのか?」


「そうではなくて……」


「暁も早く来いよ。赤ちゃんが風邪ひいちゃうだろ」


 お~よちよちと言いながら、すたすたと部屋の中に入っていってしまった。


すっかり感心は赤ん坊の方に取られてしまったようだ。


 せっかく結ばれたのに、念願だった夢のラブラブ新婚生活とはいかなそうな悪い予感がして暁はしばらくその場を動けなかったのであった。


果たして、これから本当に朱雀の邪魔が入ってしまうのか。


暁の苦悩はまた続くのか。


それは……。





【完】
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