朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
(私が……朱雀の巫女だからだ)


 考えてみればシンプルな理由だった。


今まで妾も取らなかった男が、会って間もない柚を妃にしようと思うなんて、それくらいしか理由がない。


妙に腑に落ちると、今度は別の疑問が湧いてきた。


「なあ、巫女って神に仕えるわけだから、独身しかなれないんじゃないのか?」


「その理(ことわり)は帝には通用しません。

帝の近侍を致しますのは采女と呼ばれる女官で、元は巫女上がりが大変多いのです。

それは、帝がこの天地を創った天照大御神の子孫であられますので、八百万のどの神よりも尊い存在だからです。

よって、帝に仕えるということは、全ての神に仕えるということなのです。

帝は何よりも、神獣朱雀よりも尊いものなのでございます」


「そんなに偉いのか、帝ってやつは。まるで神扱いだな」


「神扱いではございません。神なのでございます」


 平成生まれの柚は、ニコリと微笑みながら人間が神であると断言してしまう由良に非常な違和感を覚えたが、日本でも太平洋戦争に負けた時、天皇がわざわざ人間宣言をしたくらい、人々にとって天皇は神だった時代があるわけだから、この世界の人々がそう信じているのは仕方のないことなのかなと思った。


でもやっぱり柚にとって暁は暁で、帝だろうと神だろうと、そんなものは関係なかった。
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