朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「なんで暁って呼ぶことが深い仲になるんだよ!」


「帝を暁と呼ぶのは、帝のご家族だけでございました。

心を許した人にしか呼ばせない名称なのでございます。

今ではもう皆お亡くなりになり、帝と暁と呼ぶのは唯一残った弟君のみでございます」


「皆亡くなった? 病気か何かか?」


「いいえ、物の怪の仕業でございます。

数年前に突如物の怪が現れ、平城宮で働く者達の精気を吸い殺し始めたのでございます。

物の怪の魔の手は天皇家の一族にまで及び、残ったのは斎暁天皇と弟君のみとなりました。

それゆえ斎暁天皇はあの若さで帝の位についたのでございます。

物の怪は何度も斎暁天皇を殺そうとやってきましたが、斎暁天皇には物の怪を寄せ付けぬ力があり、物の怪は手を出すことができないのです。

それに、斎暁天皇が位につき、宮を守ってくれているおかげで物の怪に食われる者も激減いたしました」


「そういえば、暁もそんなようなこと言ってたな。

あの時はあまりよく分かっていなかったけど。

そんな恐ろしいのがいるのか、ここには。

尚更こんな所にはいられないだろ!」
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