朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「朱雀の巫女を妃にするというのは本当なのですか!?」


 彼らは一様にそのことについて食いかかってきた。


「ああ本当だ」


 と手を休ませずに返答すると、大臣たちは頭を抱え、まためいめいに不満を零す。


自分の娘を妃にとこれまでに強く推していたにも関わらず、突然あっさりと妃の座が奪われたのである。


彼らの落胆と怒りは大きかった。


「そもそも、その女は本当に朱雀の巫女なのですか? 朱雀の巫女は古い言い伝えで、実際に存在するとは思えないのですが」


「間違いなく柚は朱雀の巫女だ。余は朱雀をこの目でしかと見た。なあ、貴次」


 突然振られた貴次は、大臣たちの刺すような眼差しに少し狼狽しながらも、しっかりと答えた。


「はい。私は朱雀の姿を見たわけではないのですが、太陽のように輝く光は見ました。

昼のように辺り一面明るくなるあの様は、この世のものとは思えない神秘的な体験でした。

それに、捕えた者共も、朱雀を見たと言っており、その朱雀が女に向かって微笑みかけていたと証言する者もおりました」


 貴次の言葉に、大臣たちは黙り込んだ。
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