朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「柚、突然どうしたんだ。泣いていては分からぬ。余にできることがあったら何でもしよう。何がそんなに悲しいのだ、教えてくれ」


「そ、外出たら、物の怪が、いるぅ~」


 柚はしゃくりながら言った。


「そうだ、外は危険だ。余の側におるといい」


「暁の側は嫌だ」


「なぜだ?」


 暁はまさかそんなことを言われると思ってなかったので、軽くショックを受けた。


「暁はエッチなことをしようとするから嫌いだ」


「エッチとはなんだ?」


「あれ……春画に描いてあるようなこと」


 柚は泣きながら、部屋の片隅に隠してあった春画を指さした。


暁はその春画を取り、パラパラと捲った。


「これは……どうしてこんなものを柚が」


「由良が、帝の妃はこういうことをしなくちゃいけないって。夜伽は妻の仕事だって」


 暁は何も言えずに黙り込んだ。


否定はできない。


なぜなら今日、まさにそういうことをするために柚の部屋に来たからだ。
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