朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「はじめまして。僕は帝の弟の稚夜(ちや)と申します。
暁兄様のお嫁さんってことは、僕の姉さまになる方ですよね。
よろしくお願い致します!」
「えっ! 暁の弟!?」
驚いて声を上げると、稚夜は人差し指を唇に当て、「しっ」と辺りを窺うようにして言った。
「僕、ここに内緒で来たんです。
見つかったらすぐに連れ戻されてしまいます。
僕の姉さまになる人なのに、謁見すらできないなんて酷いと思って、舎人や衛士の警備をかいくぐって来たんです。
でも、貴次の目を逃れるのは至難の業で、ここに僕がいることを知られるのも時間の問題かも……」
稚夜がしきりに後ろを気にしていると、柚の部屋の中から「稚夜様っ!」と呼ぶ大きな声がした。
「うわあ! もうばれた!」
稚夜は柚の後ろに隠れた。
部屋を通り、庭に出てきたのは、武官の礼服を着た黒髪の美青年だった。
どこかで見たことがあるような気がしてよく見ると、暁が貴次と呼んでいた銀の鎧かぶとを被った男だった。
貴次は柚と目が合っても、すぐに興味なさそうに視線を外し、柚の後ろに隠れている稚夜に向かって話し出した。
暁兄様のお嫁さんってことは、僕の姉さまになる方ですよね。
よろしくお願い致します!」
「えっ! 暁の弟!?」
驚いて声を上げると、稚夜は人差し指を唇に当て、「しっ」と辺りを窺うようにして言った。
「僕、ここに内緒で来たんです。
見つかったらすぐに連れ戻されてしまいます。
僕の姉さまになる人なのに、謁見すらできないなんて酷いと思って、舎人や衛士の警備をかいくぐって来たんです。
でも、貴次の目を逃れるのは至難の業で、ここに僕がいることを知られるのも時間の問題かも……」
稚夜がしきりに後ろを気にしていると、柚の部屋の中から「稚夜様っ!」と呼ぶ大きな声がした。
「うわあ! もうばれた!」
稚夜は柚の後ろに隠れた。
部屋を通り、庭に出てきたのは、武官の礼服を着た黒髪の美青年だった。
どこかで見たことがあるような気がしてよく見ると、暁が貴次と呼んでいた銀の鎧かぶとを被った男だった。
貴次は柚と目が合っても、すぐに興味なさそうに視線を外し、柚の後ろに隠れている稚夜に向かって話し出した。