朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「いけ好かないというか……。

貴次はいつも冷静沈着で人を寄せ付けぬところがあるから誤解されやすいが、あれでいて情深いところもある男なのだ。

いつも正しいことしか言わんから、余も少々煙たい時もあるが、根は悪い奴ではないのだ。分かってやってくれ」


「ふ~ん」


「まあ、余も時々、貴次の考えていることが分からない時もあるがな。

損な生き方をする奴なのだ。

しかして、なぜ急に貴次のことを?」


「ああ、今日、暁の弟がやって来て……」


「稚夜が? どうやって」


「なんか、私に挨拶に来るために抜け出してきたらしい。それで稚夜を連れ戻しに来た貴次に会ったんだ」


「挨拶にか。稚夜らしいな。

稚夜の母は、稚夜を産んですぐに亡くなっておってな。

稚夜の親戚も皆、稚夜が生まれる前に死んでしまったから、新たに家族ができて嬉しいのであろう」


「稚夜の母は…ってことは、稚夜とは異母兄弟なのか?」



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