朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
第十一話 式神
朝になり、暁はいつものように公務に出掛けていった。


キス以上のことはしなかったけれど、昨晩のことを思い出すと柚はなんだか恥ずかしくなった。


長い間唇を重ねていた気がする。


しかも無我夢中で暁の背にしがみついてしまった。


 今朝の暁は、どうやら寝不足のようで大きな欠伸をしながら「余は自分がこんなに我慢強いとは思わなかった。自分で自分を褒めてやりたい」と意味不明なことを呟いていたが、どこか機嫌が良さそうにも見えた。


 柚は昨日、しばらくはこの世界にいようと腹を決めた。


まだ一生涯この世界で生きていく決意はできていないが、もうしばらくはいてもいいと思った。


本当に嫌になって帰りたくなったら、またその時考えればいい。


朱雀によれば、元の世界では柚は存在しないことになっているらしいから、家族に心配をかけているわけではない。


それに、死ねば朱雀と出会った時に戻ることができる。


だから、焦る必要はないだろうと思った。
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