え!?朝霧ってあたしのこと好きなの!?
手作りマフィン



ドキドキしながらオーブンを開けて





「「できたぁーっ!」」





あたしは班の女の子達と手を取り合い、そう歓声を上げた。





家庭科の、今回のメニューはチョコチップマフィン。





おいしそうな匂いに包まれながら、予想以上においしそうに焼き上がったマフィンを見て幸せな気持ちに浸る。





さぁっ!!
さっそく食べ…





「…あれ?皆食べないの?」





大口を開けてマフィンにかぶり付こうとしたのはあたしだけで、他の皆はせっせとラッピング。





「もちろん!拓哉にあげるんだー♪」




答えたのはクラスのアイドル、早南(サナ)ちゃん。



他の皆もそれぞれ彼氏とか、好きな人にあげるみたい。





「…何そのニヤニヤした目は」

「いやー別に?何だかんだ春山さんも志村くんとラブラブなんだなぁと思って♪」


「うるさいっほっとけ」





照れたようにそう言いつつ、ハート柄の袋にマフィンを丁寧に入れる佳乃。





あーん♪
青・春♪







「てか葉純は?朝霧にあげないの?」


「………え」





思わず固まってしまった。






あたしが

朝霧に

マフィンを?





「………」





言っておくがあたしは今まで、男子に手作りお菓子をプレゼントした事なんてない。ただの一度も。






「……」


「あげれば?せっかくだし。
ほらこれ、ラッピングの余り。あげる」





でもたぶん朝霧は




あたしがマフィンをあげたら凄く喜んでくれそうな



そんな気がした。





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