え!?朝霧ってあたしのこと好きなの!?
「…っわ、キレー」
上から見る遊園地は思っていた以上に素敵で。
「だろ?」
あたしの向かい側に座る朝霧が得意気に言う。
「やっぱ朝霧ってロマンチス…っ痛!ちょっ何でデコピンすんの!?」
「なんとなく。つーか」
デコピンした腕をそのまま伸ばし
グイッ
「…こっち来いよ」
あたしの腕を引いた。
「っわ、」
あたしが朝霧の隣に腰をおろした衝撃で、観覧車が揺れる。
決して広くはない、ていうか狭い観覧車の中。
だというのに。
朝霧の腕があたしの肩に回され、強く引き寄せられる。
…ち、ちちち近すぎじゃないかちょっとコレは!!!
「…あ、あの、朝霧?」
「………なに」
「…ち、近く、ない…?あは…は…」
「………」
だってちょっとでも動いたら、顔、が…
「……っ」
朝霧に肩を抱かれたまま微動だに出来ずにいると、朝霧がそっと屈むように近づいてきて。
「………っっ」
朝霧の吐息をすぐ近くで感じて、顔がカァッと熱くなっていくのが分かった。
「…あ、あさぎ、り」
「………」
「…あ、朝霧…?」
あと少しでも動いたら唇が触れてしまいそうな距離で、何も言わず、じっと止まっている朝霧にそっと目線をあげると
「………ダサ」
バツの悪そうな顔で笑う朝霧がいた。
「…バカみてぇに、緊張してる…」
たかがキスなのにな、と少しあたしから顔をはなす朝霧。
その言葉にまた分かりやすく上昇するあたしの体温。
「た、たかがって何たかがって!!し、しかもっ!前だってしたじゃん!!」
「あ、あれは!あれは…い、勢いっていうか…お前がムカつくこと言うからだろ」
「え!?あたし何も言っ…」
「黙れよ」
朝霧がグッとあたしの肩を抱く腕に力を込めて
また不意に近づく朝霧の綺麗な顔に、思わず息をのむ。
「…黙ってキス、させろ」
そしてそっと、
唇が重なった。
観覧車は、ちょうど天辺に差し掛かろうとしていた。