え!?朝霧ってあたしのこと好きなの!?
元カノ
遊園地から、一週間。
「竜平いる?」
教室に入ろうとしていたあたしは一人の女の子に話しかけられた。
明るい茶髪のロングヘアーに、自然に化粧が施された顔。
大きな目に、長い睫毛はクルリとカールしていて。
…すっごい美人……!
思わず見とれていると
「? ねぇ、竜平いる?」
もう一度さっきのセリフを繰り返す美女。
「あっごめん!分かった竜平ね!竜へ………って誰だ!?」
「俺だアホ」
バコン、と後ろから頭を叩かれた。
振り向くと不機嫌そうな顔であたしを見下ろす朝霧。
「あっ!?そうだ!そういえば竜平くんか朝霧!!」
いやー、いつも朝霧朝霧呼んでるから分かんなかったわ☆
「お前……最悪だな」
謎が一つ解明されスッキリするあたしに氷点下の視線を送ってくる朝霧。
「そんなこと言って、朝霧だってあたしの名前わか「葉純」
「!!!」
「…分かるに決まってんだろ」
呆れたようにため息をつく朝霧に、カッと顔が熱くなる。
心臓がおかしい。
…こないだの遊園地からずっとそうだ。
朝霧に触られたり手を取られたりすると、今までとは比べものにならないくらいドキドキする。
今だって、ただ名前を呼ばれただけだ。なのに―…
「っていうか」
突如言葉を発した美女にハッと我に返った。
そうだ!美女さんに朝霧がいるか聞かれたんだった!
「あたしのこと気付いてるクセに無視しないでよ?」
朝霧の腕をつかみ、ちょっと拗ねたような口調でそう言う美女。
んっ!?ちょっ!!
胸っ胸が当たってませんか!?
「…何か用」
美女さんの肩をつかんで自身から引き離す朝霧に、ちょっとホッとした。
…ん?なんでホッ?