え!?朝霧ってあたしのこと好きなの!?
「あー暇だったなー!」
閉館時間になり、委員長が図書室に鍵をかけながら苦笑する。
「ってか家どこ?送ってくよ」
「え!?や、いいよ。悪いし…」
「いいから。
もう暗いし送らせて」
そして爽やかな微笑みを浮かべる委員長。
結局、委員長の好意に甘えて送ってもらうことになった。
「…じゃ、あたしの家ここだから。
今日はわざわざ送ってくれてありがとう」
「いいよ、気にしないで」
委員長がニッコリと、また爽やかな微笑みを浮かべる。
志村が何か危険とか言ってたけど、どこがだよ志村。こんなに爽やかな人なのに。
「じゃ、また」
あたしは軽く委員長に手をあげ家に入ろうと背を向けた。
「…榎波さん!」
すると声まで爽やかな委員長に呼び止められる。
「え?」
「俺好きなんだ。
榎波さんのこと」
「………え」
突然の事に頭がついていかない。
「突然こんな事言って困らせてごめん。でも、本気だから。
前からずっといいなと思ってたんだ、榎波さんのこと。
今回榎波さんと俺がペアになったのも偶然なんかじゃない。
俺の八百長だし」
「…え、え!?」
爽やかな委員長に似合わないその単語と悪戯っぽい微笑みに、ただただ困惑するあたし。
「今すぐ返事欲しいとか思ってないから。
でも考えてみて欲しいんだ」
そして委員長は「じゃぁ」と、呆然とするあたしを残してもと来た道を戻って行った。
…委員長があたしを、好き!?
え、でも委員長とは今日はじめてまともに喋って、でもアミダは実は委員長の八百長で、え、え!?
パニックに陥るあたしを、その時ちょうど帰って来た弟が不審者を見るような目付きで見てきた。
「…何してんの姉ちゃん」
「え!?い、いや別に!?」