え!?朝霧ってあたしのこと好きなの!?
顔をあげると、そこには不機嫌そうにあたしを見下ろす朝霧の姿。
「あれ?榎波さん?」
…with美女さん。
「……こんな所で何やってんだよ」
「……な、何って、別に…」
委員長がそんなあたしと朝霧を見比べて
「…で、榎波さん話って?」
「あ、うん、えーと…」
ここで話すのはちょっとな……
「ちょっと来てもらってもいい?」
あたしは委員長を促してその場から離れた。
***
そんな葉純と田坂の後ろでは。
「ちょっと竜平?何ボーッとして…」
「誰アイツ」
「え?」
「誰アイツ」
「アイツって…田坂のこと?」
「…田坂?」
「そう。確か図書委員会の委員長」
不機嫌そうに眉をしかめる朝霧。
そして。
「志村ー!!」
教室内から志村を呼び出した。
「…なんだよ~」
佳乃との時間を邪魔され(といっても課題をやらされてた)不機嫌な志村。
だがそんな自分を遥かに上回る不機嫌そうな朝霧に思わずたじろく。
「お前図書委員だよな。
田坂について詳しく話せ」
「田坂ぁ~?」
志村は廊下を歩いて行く葉純と田坂の後ろ姿を見つけ、あぁそういうことか、と笑みをこぼした。
「最近榎波とカウンター係のペアになったんだよ」
「あ?ペア?」
「おー。しかもペアになったのは田坂の八百長。
どう見ても榎波に気があるようにしか見えねぇよなぁ」
あえて田坂が葉純に告白したところまでは伏せ、朝霧の表情を窺う志村。
「………」
朝霧は暫く押し黙ると
「ちょっ!?どこ行くの竜平!!」
「うっせーな、ついてくんなよ」
舞の腕を振り払い、葉純と田坂が歩いて行った方向に歩き始める朝霧。
ニヤリ。
不満気な舞の後ろで、志村が不敵な笑みを浮かべた。