エンドレス・ツール
「正貴はなんでりーが好きなの?」

「んー? なんかね、後ろから抱き締めたくなるところ!」

「……りーとお前、大して身長変わんねえだろ」

「え、何々? まさか『俺はでかいからりーを簡単に抱き締められるし』とか思っちゃってんの?」


高橋くんがニヤニヤしながら翔さんを肘でつつく。


完全に楽しんでるよね、この人……。


「ばあか。ちげーよ」

「しょーちゃん、柄にもなく嫉妬?」

「してねーよ」


翔さんの拳が高橋くんの頭を軽く叩いた。


「りー、ごめんね」

「え、いや、別に……」

「俺、りーのこと妹みたいに思ってるからさ」


翔さんにとっては何気ない一言だったんだろう。


妹…………か。


その言葉が、意外にあたしの胸にずしっとのし掛かってきた。


妹ね。


嫌われるよりはずっといいだろう。


でも今のあたしはそれ以上を求めてしまっている。


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