エンドレス・ツール
録画を見終えて部屋に戻る。


携帯を開くと、なつからメールが届いていた。


『璃里香もうはうは気分を味わって~』という文と共に翔さんが一人で写っている画像が添付されていた。


満面の笑みでこちらを見ていた。


大方ケイゴくんと一緒にいるなつのテンションが上がって、送り付けたやつだろう。


今頃なつはケイゴくんと頑張っている最中かもしれない。


嬉しいけどさ。好きな人の画像なんて鼻から全身の血が出そうになるくらい嬉しいけどさ。


……憧れと恋ねえ。


誠ちゃんは元からテレビの中の人って割りきってるから。


今年28の誠ちゃんにはさっさと結婚して幸せになってもらいたいわよ。あたしはまだ聞いたことないけど、誠ちゃんのデート報道が流れたら両手を上げて喜ぶわよ。まあ、アイドルが結婚すると風当たりが半端ないけど。


あたしは元々無理ってわかってるから。


……じゃあ、翔さんだったらあたしはどう思うかな。


翔さんに好きな人がいて、翔さんはその人のことばかり考えていて。


そんな翔さんを、あたしは手放しに喜んで応援できるだろうか。


無理だな。


即答だった。




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