エンドレス・ツール
それからあたし達は他愛ない話で盛り上がった。


お互いのバイトの苦労話とか、翔さんはビールより日本酒の方が好きだとか、翔さんは酒に強いとか、あたしのなつに対する愚痴とか。


酒を飲みながらあたしはいつもの三倍は笑い上戸になっていた。


ラーメンを啜る翔さんにも爆笑していたし、なつ達が先に帰るときもなぜか声を上げて笑っていた。


「りー、ちょっと大丈夫? 顔真っ赤だよ」

「大丈夫ですよ~。あたし、酒がちょっと回ってるみたいで~」

「たいぶ回ってると思うけど……」


そうやって心配してくれる翔さんにもげらげら笑っているのだから、かなり酔っていることは誰の目からも明らかだった。


そして、ベロンベロンになるまで酔ったことがなかったあたしは、酒の威力をすっかり舐めていた。


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