エンドレス・ツール
「……それで?」
それで、あたしは酔った勢いでやってしまったと?
意識を手放してからの記憶がない。
「……翔さん」
「ん?」
頬にある翔さんの手を握り締める。温かかった。
「……本当にやったんですか?」
「覚えてないの?」
「……居酒屋で倒れてから、ですよね」
翔さんはふっと口元を緩める。
メガネの奥の瞳は穏やかだった。
「……俺も、けっこう酔ってたから」
「翔さん、正気だったら勢いでやる人じゃないですもんね」
本音だった。たぶん、翔さんは一夜の過ちなどしない人だ。一人の女性を愛して、触れて。そういう人だ。
「……まあ、言い訳だけどね。意識はあったわけだから」
「あたし……誘惑したってことですか?」
だって、翔さんからしてくるのはいくらなんでもないだろう。酔い潰れた人を襲うなど、真面目な翔さんはしないと思う。
「……りーのせいじゃないよ」
「……したんですね」
どうしようもない罪悪感が頭の上に乗っかったような気がした。
あたしはこの人に無理やり抱かせてしまったのだ。
それで、あたしは酔った勢いでやってしまったと?
意識を手放してからの記憶がない。
「……翔さん」
「ん?」
頬にある翔さんの手を握り締める。温かかった。
「……本当にやったんですか?」
「覚えてないの?」
「……居酒屋で倒れてから、ですよね」
翔さんはふっと口元を緩める。
メガネの奥の瞳は穏やかだった。
「……俺も、けっこう酔ってたから」
「翔さん、正気だったら勢いでやる人じゃないですもんね」
本音だった。たぶん、翔さんは一夜の過ちなどしない人だ。一人の女性を愛して、触れて。そういう人だ。
「……まあ、言い訳だけどね。意識はあったわけだから」
「あたし……誘惑したってことですか?」
だって、翔さんからしてくるのはいくらなんでもないだろう。酔い潰れた人を襲うなど、真面目な翔さんはしないと思う。
「……りーのせいじゃないよ」
「……したんですね」
どうしようもない罪悪感が頭の上に乗っかったような気がした。
あたしはこの人に無理やり抱かせてしまったのだ。