エンドレス・ツール
09.思っても届かない
「……こんなはずじゃ、なかったっつの」
あたしは目の前の机を睨みつけた。
机の上にはホイップあんパンとメロンパン。
「あと5分早かったら、大好きなチョコデニッシュが買えたのに」
「文句言いなや。そのホイップあんパンかて、あんたの好物やろ」
隣のなつが野菜ジュースを啜る。
「……まあ、いいけどさ」
あたしはホイップあんパンにかぶりついた。
食べ物はいいけど、翔さんのことは「まあいいか」では済ませられない。
『──こんなはずじゃなかった』
あれから二週間。
あたしはあの日、翔さんに『もう、帰って』と言われさっさと帰るしかなかった。
翔さんは鬼畜ではないから、さすがに服は着替えさせてくれたけど。
家に帰り、介抱してくれた翔さんにお礼を言うことを忘れたと思い出した。
メールを送ろうとしたけど、携帯に向かう気力は残っていなかった。
記憶がない、なんて嘘だった。
あたしは目の前の机を睨みつけた。
机の上にはホイップあんパンとメロンパン。
「あと5分早かったら、大好きなチョコデニッシュが買えたのに」
「文句言いなや。そのホイップあんパンかて、あんたの好物やろ」
隣のなつが野菜ジュースを啜る。
「……まあ、いいけどさ」
あたしはホイップあんパンにかぶりついた。
食べ物はいいけど、翔さんのことは「まあいいか」では済ませられない。
『──こんなはずじゃなかった』
あれから二週間。
あたしはあの日、翔さんに『もう、帰って』と言われさっさと帰るしかなかった。
翔さんは鬼畜ではないから、さすがに服は着替えさせてくれたけど。
家に帰り、介抱してくれた翔さんにお礼を言うことを忘れたと思い出した。
メールを送ろうとしたけど、携帯に向かう気力は残っていなかった。
記憶がない、なんて嘘だった。