エンドレス・ツール
「でもそれ、なんで高橋くんが知ってんの? いくら従兄弟だからってさ」

「俺としょーちゃんは親友みたいなもんだよ。言わなくても、お互いのことは知り尽くしてる。まあ、だいたい話すけどね」


へらっと笑う高橋くんは、どこか寂しそうな表情をする。


「しょーちゃんがどれくらい女を抱いたかは俺もよくわかんない。そこまで報告しないしね」

「そりゃあ、報告したら気持ち悪いけど」

「ただわかるのは、しょーちゃんは、もともと遊ぶような人じゃなかった。そんで、今もたぶん元カノと重ねてるんだと思う、そこらへんの女を」


あたしは唇を噛み締めて、必死に耐えていた。


たぶん、一瞬でも気を緩めたら泣いてしまう。


あたしは、あたしとして抱かれたのではない。


翔さんの元カノとして、抱かれたんだ。


つまりそれは、あたしは翔さんにとって、それまでの存在だったということ。


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