エンドレス・ツール
「だから、止めたんだ。璃里香ちゃんみたいな子は、何回か見たことあるから」


高橋くんはあたしをまっすぐ見ていた。


「そんなに?」

「しょーちゃんは、人と仲良くなるのが上手だからね。人懐こいし、酔わなければ手出してくることはめったにないし。遠目から見るとしょーちゃんって、好みがはっきり分かれるけど、話してみるとみんなに好かれる。それでしょーちゃんを好きになる子はたくさんいた」

「でもさ、別れたのって二年前でしょ? そんな短期間に何人とやったわけ?」

「俺が知ってるだけでも十人は軽く超える」

「……なにそれ」


あたしの胸の中にあるのは、絶望ではなく、そんな翔さんに対する罪悪感。


たぶん、翔さんはあの時、必死に自分を押さえ込もうとしてたんだ。それを、あたしが煽って…………。


翔さんは、何をそんなに思い詰めてるの?


翔さんの苦しそうに歪める顔は、たぶんあたしは忘れられない。


< 139 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop