エンドレス・ツール
今まで話していた子がいるのに、あたしを隣に座るのを許しちゃう翔さんって一体……。


「す、すいません……」

「いいよ。今の子、璃里香ちゃんといた奴に興味あるみたいで、行っちゃったし」

「はあ……」


だから、あたしのこと隣に……。


「璃里香ちゃん、一年生でしょ」

「はい。翔さんは……?」

「さっき言ったけど」

「え?」

「聞いてなかったでしょ。明らかにつまらなそうな顔してたし」

「う……」


ば、ばれてた……。


「なつにむりやり連れてこられた感じだから……」

「好きじゃない? こういうとこ」

「うん……」


まさか、家でアイドル見ていた方がいいとは言えない。


「俺は二十歳だよ」

「え、一個上!?」


あたしの反応に、翔さんが吹き出した。


「それ、どんな意味?」

「もっと上かと思ってた……」

「よく言われる。損だよな~」

「大人っぽいってことですよ」

「璃里香ちゃんは、幼い感じ。身長でカバーされてるけど、座ってると高校生に見える」

「それは、地味だから……ですか?」

「う~ん……それもあるかも」

「ううう……」


自分が地味なことは分かってるつもりだけど、翔さんに言われるとなんかへこむ……。


意外にはっきり言うんだなあ……。


< 15 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop