エンドレス・ツール
「璃里香ちゃーんっ」
「……重い」
その二年の間で、この男は変わらなかった。
「……離れて」
「相変わらず冷たいー。璃里香ちゃん」
「……何ですか」
「俺と付き合おう!」
「彼女に言ってやって」
高橋くんには実は彼女がいたのだ。
しかも、高校からの長い付き合いの彼女が。
「なんであたしに構うの? 彼女のもとに行けばいいじゃん」
「彼女は北海道に置いてきたもん。会いたくても会えないから、二番手の璃里香ちゃんに構うのー」
「……最低」
高橋くんって、北海道出身だったっけ。
「安心して。付き合おうってのは本気じゃないからさ。俺、一途って言ったでしょ」
「……好きってのは」
「彼女の次に、って意味ー!」
一瞬でも浮かれたあたしがばかだった。
「あたしに構ってる暇があったら、彼女と電話してなよ。ほら、携帯鳴ってるよ」
「あ、美和からだ。じゃ、またねー、璃里香ちゃん」
もう来なくていいよ、という言葉は、遠ざかる高橋くんの姿とともに消えた。
高橋くんと翔さんは似ていないのが逆に幸いしたのかもしれない。
始めこそ高橋くんを避けていたあたしだけど、翔さんの面影を感じさせない高橋くんといても、不思議と普通に話せた。
「……重い」
その二年の間で、この男は変わらなかった。
「……離れて」
「相変わらず冷たいー。璃里香ちゃん」
「……何ですか」
「俺と付き合おう!」
「彼女に言ってやって」
高橋くんには実は彼女がいたのだ。
しかも、高校からの長い付き合いの彼女が。
「なんであたしに構うの? 彼女のもとに行けばいいじゃん」
「彼女は北海道に置いてきたもん。会いたくても会えないから、二番手の璃里香ちゃんに構うのー」
「……最低」
高橋くんって、北海道出身だったっけ。
「安心して。付き合おうってのは本気じゃないからさ。俺、一途って言ったでしょ」
「……好きってのは」
「彼女の次に、って意味ー!」
一瞬でも浮かれたあたしがばかだった。
「あたしに構ってる暇があったら、彼女と電話してなよ。ほら、携帯鳴ってるよ」
「あ、美和からだ。じゃ、またねー、璃里香ちゃん」
もう来なくていいよ、という言葉は、遠ざかる高橋くんの姿とともに消えた。
高橋くんと翔さんは似ていないのが逆に幸いしたのかもしれない。
始めこそ高橋くんを避けていたあたしだけど、翔さんの面影を感じさせない高橋くんといても、不思議と普通に話せた。