エンドレス・ツール
そして、あたしも何も変わらなかった。


二年の間で彼氏が二人できた。


ゼミの飲み会で仲良くなった同い年の見た目は厳ついけど涙もろい人と、年下のサッカー部の熱血系の人だった。


二人とも翔さんとは似ても似つかない見た目と性格だった。


それでも、あたしは自分が変わったとはどうしても思えなかった。


彼氏が似ても似つかないということは、翔さんを避けている証拠だったし、あたしはまだひきずっているのかと思い知らされた。


二年経ったから誠ちゃんに対する見方は以前に戻りつつあったけど、それでも胸の奥の密かな恐怖心は消えなかった。


自分が翔さんにどんな感情を持っているかすらわからなくなっていた。


会わないから確かめようもない。


会ったところで、確かめられるかもわからない。


ただ、翔さんが触れた感触だけは忘れることはなかった。


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