エンドレス・ツール
駅に着いて、あたしは中をきょろきょろと見渡した。


ここは市の中でも一番大きい駅で、新幹線や常磐線がいくつも通るここらへんでは主要な駅だ。


しばらく歩き回っていると、目的のものを見つけた。


やっぱり、本物は違うな。


見るだけで、心臓の鼓動が波打つのを感じる。


思い出すと恐怖心があったのに、会うと恐怖心がなくなってしまうくらいドキドキするようだ。


ばかだな。


あたし、二年経ってもまだ好きだったんだ。


「翔さん」


短く言い放つ。


十メートルほど先にいた翔さんがこちらに振り向く。


翔さんは二年前より大人になっていた。


顔立ちも、雰囲気も、あどけなさをなくしていて、大人の男になっていた。


あたしを一瞬見て、目を見開いた翔さんはすぐさま走り出した。


「翔さんっ!?」


な、なぜ逃げられた、あたし!


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