エンドレス・ツール
「いやー、今日もかっこいいなあ、誠(セイ)ちゃん」
にや~っと、思わず口角が上がってしまう。
いわゆる、満面の笑みってやつだ。
開いた雑誌を両手で支えながら、あたしの頭の中は別世界に旅をしていた。
そこにいるのは、大好きな人とあたし。
誠ちゃんが抱きしめて、誠ちゃんがちゅーして、誠ちゃんが…………
「誠ちゃん、誠ちゃんって、そんなにかっこいいかねえ、大山誠一(オオヤマセイイチ)くん」
すっかり別世界の住人になっていたあたしは、現実の、自分のではない声に、一瞬にして現実に戻された。
いかん、誠ちゃんのイメージが崩れるくらい妄想してしまった。
「う~ん、うちはやっぱ、あっすーが好みやなあ」
ちらりと視線を動かすと、親友の立川夏香(タチカワナツカ)が、あたしの後ろから手にしている雑誌を覗き込んでいた。
「好みは人それぞれじゃん。あたしは誠ちゃんが好きなの」
「やー、だって、大山くん、そんなにかっこええ? 優しそうではあるけど、ひょろひょろしてて、気弱そうやない」
「そこがいいの。気弱そうだと見せかけて、ガッといくのがいいんじゃない。見た目も行動も一致してちゃ、つまんないじゃん」
「大山くん、そんなにガッツリいくんか?」
「いや、優しいです」
「ダメやな」
やれやれとため息をついて、夏香が呆れる。
にや~っと、思わず口角が上がってしまう。
いわゆる、満面の笑みってやつだ。
開いた雑誌を両手で支えながら、あたしの頭の中は別世界に旅をしていた。
そこにいるのは、大好きな人とあたし。
誠ちゃんが抱きしめて、誠ちゃんがちゅーして、誠ちゃんが…………
「誠ちゃん、誠ちゃんって、そんなにかっこいいかねえ、大山誠一(オオヤマセイイチ)くん」
すっかり別世界の住人になっていたあたしは、現実の、自分のではない声に、一瞬にして現実に戻された。
いかん、誠ちゃんのイメージが崩れるくらい妄想してしまった。
「う~ん、うちはやっぱ、あっすーが好みやなあ」
ちらりと視線を動かすと、親友の立川夏香(タチカワナツカ)が、あたしの後ろから手にしている雑誌を覗き込んでいた。
「好みは人それぞれじゃん。あたしは誠ちゃんが好きなの」
「やー、だって、大山くん、そんなにかっこええ? 優しそうではあるけど、ひょろひょろしてて、気弱そうやない」
「そこがいいの。気弱そうだと見せかけて、ガッといくのがいいんじゃない。見た目も行動も一致してちゃ、つまんないじゃん」
「大山くん、そんなにガッツリいくんか?」
「いや、優しいです」
「ダメやな」
やれやれとため息をついて、夏香が呆れる。