エンドレス・ツール
昨日は雰囲気に酔ってたのかもしれないし、もしもう一度会ってがっかりしたなんてことになったらあたしも嫌だし、翔さんにも失礼だ。


「もう一度会いたいて思わんの?」

「う~ん……別に」

「つまらん」


なつがため息を吐く。


あたしは誠ちゃん一筋なわけだし。


「まあ、大学は一緒やから、また会うかもな」


なつがぽつりとつぶやいた。


「は?」

「聞いてなかったん? 昨日来てた人たち、みんなうちの大学の人やで」

「え、だって、あの人たち、今まで一度も見たことなかったよ」

「違うキャンパスやもん。当たり前やんか」

「翔さん、理系なの?」

「いや、経済学部。文系の中で、あの学部だけキャンパス違うやん」

「あ、そうか……」


うちの大学は、主に文系と理系の学部でキャンパスが違う。


あたしとなつは文学部。


昨日合コンにいた翔さん以外の人たちは、みんな理系の学部だそうだ。


「……あたし達だけ初対面って、なんかおかしくない?」

「ま、結果的にはうちは彼氏に出会えたんやし、うちはよかったけどな」

「あたしは行かなきゃよかったけどね……」


翔さんと同じ大学だったなんて。


案外、世間って狭いんだなあ。


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