エンドレス・ツール
そんな生活をしていたら、大学で親友のなつに出会った。


なつはあたしとは正反対。


美人で、おしゃれで、合コン参加に積極的。


アイドルも多少は知っているけど、あたしほど大好き!と公言するほどの芸能人はいないらしい。リアリストってやつだ。


それに、本人こそ自覚してないけど、なつはモテる。


美人なのに、関西弁でさばさばした性格は、男の心を鷲掴みしたらしい。


本人は彼氏いない歴五年と言っているけど、そりゃあ年上のイケメンで将来弁護士を目指している男限定となれば、なかなか見つからないだろう。


なつのことを羨ましいとは思うけど、自分はなつになれないことをあたしは知っている。


この世に失望しているわけではないけど、自分の置かれている立場はちゃんとわかっている。


そんな折、なつからご飯を奢ってくれるというなら、行きたくない合コンでも行くしかないだろう。


絡まれないように黙ってご飯食べて、こっそり帰ればいいんだよ。


あたしは、今までもこれからも誠ちゃん一筋なのだ。


「行ってくるよ、誠ちゃん」


あたしは、携帯に保存してある誠ちゃんの画像を眺めて、呟いた。


数ある誠ちゃんの画像の中でも一番のお気に入り。


スーツに身を包んだ誠ちゃんが真顔でこちらを見ていた。


いかん、色っぽい誠ちゃんに見つめられて、鼻血出そう。


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