エンドレス・ツール
「お風呂、ありがとうございましたー」


お風呂から上がって、着替えて髪の毛まで乾かしたあと、台所に顔を覗かせる。


翔さんがいつも使っているシャンプーで髪を洗ったと思うと……もう一生髪を洗わなくたって生きていける!


翔さんに包まれてるみたい。


いかん。妄想したら鼻血出そう。


「簡単なものだけど食べてって」


テーブルには二人分の食事が並んでいた。


「あたしの分なんてよかったのに……」

「そう言わないでよ。作る側としては、食べてもらう人がいると作り甲斐があるからさ」

「じゃあ、いただきます」


翔さんは「よかった」と笑った。


もう、やばいよ。


好きな人の手料理なんて、そうそう食べられるもんじゃないもん。


たぶんあたし、今が一番幸せだと思う。




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