エンドレス・ツール
「あー、食べ終わった直後だから腹痛え。笑った~」


しばらく一人で笑った後、翔さんは目の端に溜まった涙を拭いて、食器を持って立ち上がった。


「そんなに笑うことですかあ?」

「ごめんごめん。でも街中ではぐれた時はいいよね。自分の顔だから」

「翔さん、バカにしてますよね」

「してないしてない。ごめんごめん」


あたしも食器を持って台所に下げる。


まだ半笑いの、スポンジで食器を洗い始めた翔さんの腕をつついてみた。


「そういえば、なつたちは大丈夫でしょうかね?」

「大丈夫だよ。今頃まだぐーすか寝てるよ」


翔さんの言い方にあたしも笑ってしまう。


「あいつら、講義にはちゃんと間に合うように来るよな」

「この間はチャイムと同時に来ました」

「でも遅刻しないんだよね」

「ある意味持ってますよね」


二人で笑ってしまう。


本当に、幸せだな。


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