エンドレス・ツール
「はあ……」


トイレの鏡の前でため息をつく。


もう帰りたい。


帰って早く誠ちゃんの活躍を見たい。


こんなことなら、誠ちゃんの動画を携帯に入れておけばよかった。


鏡に目をやると、そこには冴えない表情のあたし。


もう目が死んでる……。


いかん、こんな表情してちゃ、なつに悪い。


奢ってくれてるわけだし、途中で抜けるのは悪いかなとは思ってるけど。


でも、またあの男が絡んでくるのは耐えられない。


あたしは、誠ちゃんみたいな真面目で誠実な人が好みなの!


……でも、そろそろ戻らなきゃ、なつが心配するよな。


あたしは携帯を開いて、さっきの画像を見た。


あの画像は、あたしのやる気の源だ。


よし、頑張るんだ、璃里香!


軽くメイク直しをして、意を決してトイレを出た。


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