恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


床を見ながらもなんとか声を出したのに、先輩はゆっくりと歩き出した。

どうしたんだろうって思いながら、その後ろ姿を視線で追いかける。


先輩の足は真っ直ぐにドアに向かっていて、戸惑いながら口を開く。


「ちょっと……、何する気?

いわくつきなんでしょ……?」


振り返ってあたしを見た先輩。

その表情はわざとらしい驚きを示していた。


「ああ、さっきの話か。このドアの下敷きになった生徒の話……。

あれは体育の杉浦先生の実話だよ。

奇跡的に無傷だったってよく本人が自慢してるの聞いた事ない?」


古いドアをコン、と軽く叩きながら言う先輩に、言葉を失った。


杉浦先生の実話……?

なに……? 

騙されてたって事……?


じゃあ、幽霊も……、



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