恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「なんで嘘なんか……っ、相沢先輩が最初からそう言ってくれればすぐにここから出られたのに!」
聞きたいのは……、なんで、
「言っただろ? 忙しくて疲れたから、少し休んでただけだよ」
なんで嘘までついて、こんな古い図書室にあたしと一緒に―――……、
「でも考えてた以上に気分転換になったかな。
朱莉と一緒にいられたから」
目を細めて微笑む先輩に、心臓がはねる。
ぐっと押し黙ると、先輩があたしに向き直る。
そして。
「あと、朱莉が言った事だけど一つだけ訂正しておくよ」
「え、」
「誰とでもっていうのは正しくない。
俺にもタイプがあるし。第一、そんなに気の多い男じゃない」
「え……、」
にこっと微笑んだ先輩が、ドアに手をかける。