恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
角田の後ろ姿が見えなくなってから、下駄箱の上に書いてある名前を見て、初めて名前を知ったんだっけ。
今のが例の角田だって。
それから、なんとなく話すようになって、半年後に角田から告白されて付き合う事になった。
部活を真剣にやってる姿も、話しかけてくる時の爽やかな笑顔も。
あたしの胸をいちいち騒がせたっけ。
今思い返せば、幼い、上辺だけの恋だった。
『恋愛』って言葉への憧れからの恋って言ってもいいような、そんな恋。
それでも、その時はその恋がすべてで。
初めての両思い。初めての彼氏。
……恥ずかしいけど、角田に夢中だったんだと思う。
本当に恥ずかしいけど。
―――それなのに。