恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
意味が分からなくて首を傾げると、仁美がにっと笑う。
HRまで10分をきった朝の教室は、やっといつもの賑わいを見せる。
と、そこにいつも遅刻ぎりぎりの山岸が登校してきて。
その姿に、これからもっと騒がしくなるんだろうなーっていうのが見て取れた。
「いい考えって何が?」
「押して引いて作戦でしょ?
今まであんなに攻めてたんだから、ここで引くのは効果あるかもね」
「あ……っ」
思わず声がもれた。
作戦とか、すっかり忘れてた……。
仕掛けるとかいう前に、当初の目的すら忘れてた……。